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カルト宗教も楽ではない『THE SHROUDED ISLE』

 

 

 

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『THE SHROUDED ISLE』!

グーグル翻訳に賭けたら「シュレッド島」と出てきた。よくわかンない。


自分がカルト宗教の教祖になり、人々をうまいこと導いて5年生き延び、何らかの宗教的な目的を達成するゲームらしい。
カルト宗教といういかにもなアングラ感がいかにもそそる。宗教にすがれば人生も楽になるんじゃないかと思いつつも、こういうカルトはお金を骨の髄までむしり取られそうなのが怖い自分にとってぴったりのゲームだ。

が、プレイ開始して5分くらいで気づく。
このゲーム、めちゃくちゃ難解じゃね?と。
このゲーム、今自分は何やってるんだ?と。

挑戦し続けること20回くらい。ようやく攻略の糸口が見えてきた。

 

 

 

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この宗教は5つの家によって成り立っている。
その家の一族から春夏秋冬の季節ごとに1人ずつ顧問を選出して、像を作ったり本を焼いたりして人々をあるべき方向に導いていく。
季節の変わり目に、顧問の中から1人を生贄に捧げる。
これを5年間、計20人を生贄に捧げて進んでいくことになる。

というのが基本。

なんだ簡単じゃないと思うけれどもそれは甘い。
現実の宗教なんて見てると「これにひっかかるなんてちょろいな」とか思ってしまいそうだが、宗教は案外ひっかかってしまうものである。
そしてこのゲームの宗教は、どうにも鋭い村人たちの目をなんとか自転車操業でしのぎ続けるというきわめて泥臭いものである。

というのもこのゲーム、恋愛シミュレーションなんて比にならないほどにパラメータ管理が複雑だ。
金色のコルダ』がぬるすぎるくらいに思える。

 

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5つの家はそれぞれ固有の分野を管理しており、無知・情熱・自制・後悔・服従のパラメータとして扱われている。

たとえばこのイオセフカ家は木工と石工に優れた一族で、"情熱”をかけて記念碑を作っていく。イオセフカさんめちゃくちゃ素敵だよねいいと思う。
どれかのパラメータが伸びすぎるのは結構だが、どれかが一定値未満のまま時間が過ぎると村人たちが外の世界を知ったり情熱や服従を忘れたりでゲームオーバーになる。

 


じゃあバランスよく伸ばせばいいんじゃないかと思うけども。
各家の人々はそれぞれ徳と悪徳を持ち、担当する作業の際にこの2点がパラメータに影響を及ぼす。

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たとえばこの画像にいるイオセフカは情熱の作業を担当する上に、自制心に関する徳があるのでそっちを伸ばせる。

また、エンデリンは自制の作業を担当する一方で、服従に関しての悪徳があるので服従にマイナス。どんな徳があるのかは不明。

 

この徳と悪徳がクセモノで、徳は高くても+15くらいだが、悪徳は最大で-30まである。
しかも、誰がどんな徳と悪徳を持っているかは質問を重ねないとわからない。
???→何らかへの徳/悪徳がある→何らかへの徳/悪徳が何点という形式で表示されている。

初期状態では大抵どの人も???で、どちらかの徳が点数不明の状態で出ていればラッキー。???から点数判明までは2回の質問、すべてが完全に明らかになるまでは4回の質問が必要。

強い悪徳を持っているやつなんて作業をする上では余計なだけ。

だが、そんな人は他の村人視点でもおおむね悪になる。そういうやつを生贄対象にしてしまえばいい。横領するやつとか反抗的なやつを殺せばみんな万々歳だろう。

たとえば同じ服従の悪徳を持っている村人を生贄にするにしても、その悪徳が-10程度のちょっとしたものだったらその家の人たちはキレるし、パラメータの上下も微々たるもの。いくらカルトでも無実のやつを殺すのはよくないのだ。

逆に服従の悪徳が-30だったらその家の人たちもやむを得ないだろうと納得するし、村人は怯えて服従がグッと高まる。なのでゲームを進めていく上では質問を重ねてこういうやつを洗い出していく必要がある。
我らが神は無知なやつを殺せとか使命を出してくるが、これが何に影響するかはわからない。


そのため基本的には悪徳の強いやつを探して殺す必要になるが、生贄対象は基本的に顧問にしなければならない。
それに、悪徳が強くとも生贄にすれば基本的にその家からの是認(好感度)は下がる。同じ家の人を連続して殺すともっと下がる。是認が下がりすぎたまま時間が経過すると反逆されてゲームオーバー。
悪徳覚悟である程度は働かせて好感度を上げたり、春の間に好感度を稼いで夏に生贄するとか、好感度が高い家のそこまで罪が重くないやつを殺すとかというプレイが求められる。

要するに5つのパラメータと家からの好感度を保ち続ければそうゲームオーバーにはならないのです。やったー!

 

 

 

なワケがなかった。

 

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初めて見たゲームオーバー以外のエンディングが、「気が付けばあなたの周りからは誰もいなくなっていた」的なものである。

 

 


まず徳/悪徳を知るための質問が中々に厳しい。

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これができる回数は季節ごとに各家1,2回。序盤は誰が何を考えているのかわからないので手探りで進むことになる。
当然、ヤバい悪徳を抱えている人を何も考えずに顧問にしたら痛手になる。
顧問にしている間は質問回数がフリーになるが、迂闊にねほりんぱほりんすると家からの好感度が下がっていく罠。そりゃ質問攻めをしていたら、「私の家の人を信用できないんですか!」はなる。

次に村人たちの感情をコントロールする顧問への指示。
これは季節ごとに3回、5つの家から1〜3人を自由に選んで指示することになる。
顧問の悪徳によってパラメータが下がることもあれば、徳によって少しだけ上昇することもある。
さらに選んだ人数によって家からの好感度も変わってきて、3人選ぶとうっすらとしか上がらないが、1人だけ選べば好感度は絶大に上がる。いずれの場合も選ばれなかった家は下がる。
そして、誰も選ばずに過ごすことはできないし、パラメータのボーダーラインもめまぐるしく変化する。

これらが合わさった結果、もう、説明のしようがないくらいに複雑なものとなり、「なんとかしてこの家の好感度を上げなければならないが、上げようとすると悪徳で別のパラメータが死ぬ。それを補うために指示する人数を増やすと好感度が上がらない」という状況が頻発する。

カルト宗教なんてかなり大雑把なモンだと思っていたら、かなりせせこましく地道に苦労しながら仕事をさせていくことになるのだった。

 

 

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最後にこれまた難解なものが伝染病。
1年目の途中あたりから出てくるもので、これはペストとかではなく、ヒステリーとか偏執症みたいなものを起こす……まあ、当時からすれば伝染病みたいなものなんでしょう。
伝染病に感染した村人は徳が強制的に伝染病に置き換わり、さらに伝染病なので同じ家の中で伝染していく。気がつけば一家全員ヒステリーも起こりうる。
この状態になると徳がなくなるだけではなく、仕事をさせるとランダムになんらかのパラメータが下がる状態になってしまうらしい。
(ゲーム内での説明があまりないので、おそらくこんな感じだと思う)

病ということは治療する手段はある。当然心療内科などないので、水牢に閉じ込めることになるけど…
この中で尋問をしてどのような病なのかを確かめたり、浄化と称して水の中に沈めることもできる。
だが、いずれのコマンドも実行には1季節分の時間を要してしまう。尋問は病そのものを治すわけではないし、浄化も確実に成功するわけではないし、挙句死んでしまい家からの好感度も下がることもある。おまけに牢屋は3つだけ。

どうしても人手が足りない時はこんな伝染病持ちでもやむなく顧問にする必要がある。
しかし伝染病のまま処刑してしまうと、家が「どうしてうちの家の人の病気を治せなかったんだ!!!」といった具合に、責任能力のあるなしの問題でどんなに悪徳があってもキレてしまう。
片っ端から牢屋に入れて治療するのも簡単ではないので、どう治療するかはともかくとしても、誰を牢屋に入れるかは吟味しなければならない。

 

たまに、伝染病が治っても「私はここにいたいのです」とか連呼して牢屋から出てくれない村人がいる。

バグかなと思い、殺そうと思い浄化を続けた。すると……f:id:victbot:20190311000752j:plain

ギャーーーーー!!!!!!

 

開眼した村人は明らかに様子がおかしくなる。なってしまう。

一応開眼は重大な徳らしく、生贄にしようとするとやめとけ!やめとけ!と言われる。

が、何の役に立つかはよくわからず、何回か使ってみたものの、特にこれといっていいところがないまま終わってしまった。南無。

 


そんなこんなで数値管理がとにかくややこしいゲームだが、1つ抜け穴がある様子。
それは意図的に一家全滅を図るという方法。
家がなければ好感度の上下も起こらない。当然顧問も選べないので活動することもない。活動することがなければ数値変化は他の家の徳/悪徳だけで起きていくので、かえって安全。管理する数値の実に2割が減るのでやりくりも少し楽になる。

正常な人を強引に牢屋に入れて家の人を0人にすることも可能らしい。
もちろんこんなプレイをやっているようではグッドエンドなど夢のまた夢だが、そう悪くもないかも?

 

 


言い忘れたがBGMやグラフィックも雰囲気が最高。
BGMの数は少ないが陰鬱で夏であろうとも寒々しい。何をすればいいかわからなくて戸惑っていたのでよく聞いた春のBGMは耳に残る。最後の年になるとBGMも変わる様子。

グラフィックの面では、村人たちの顔は目元が塗りつぶされていてストレートに不気味。一定個数の顔グラを、プレイするたびにシャッフルして名前も変えているので、前はいいやつだった人が今回もいいやつとは限らない(家の名前や役割は共通)。

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全体を通して画面に使われている色数は少ないが、設定画面から変更可能。
オラァ設定画面で「毒蔦」という二文字が出るゲーム初めて見ただよ。

どう設定しても、基本的には「暗い」か「毒々しい」の2種類しかないのがいさぎよい。

 

そういうわけで数値関連が好きな人にはオススメ!

……と言い切れないのも、このゲームの辛いところかもしれない。

 

単純にチュートリアルがなければ用語辞典もなく、丸ハダカの状態で村人たちを導いていくことになるのが第一につらい。1年目を越えるまでにもすごい時間がかかった。

ここまで長々書いてきた文章も根拠がないと言えばそうなのだ。伝染病や開眼などのシステムもまったく理解できていない。

 

その他にもたとえば、

・生贄を選ぶときに家の残り人数を見られない。

・生贄を選ぶときにしか前回の生贄をどの家から選んだか確認できない(それくらい覚えとけという話でもあるけど)。

・誤って牢屋に入れた病人を即開放することができない。

・季を始めたら(仕事を始めたら)確認画面がないのでキャンセルすることができない。現在の顧問のステータス一覧を確認することもできない。

・季が始まったらなぜか牢屋の画面が出てくる。意味はない。

・なぜか、神が啓示してくる生贄の対象に「the Morbid One」と翻訳されていないものが出てくる。google翻訳に入れたら混乱した男と出てきたので、伝染病持ちを生贄にすればいいのかと割と悩んだ。実際は違った。

・セーブ&ロードもできない様子。やり直したいというよりも、開眼持ちを作りたい時や開眼持ちを生贄に捧げたい時など、システムの詳しい仕様を理解するのに沿う軽率に動けずに困る。

などが個人的に不親切だと思う。

悪く言えば死に覚えゲー、良く言えば現実の宗教のようなリアリティか。

 

最後に個人的に気になるのが、バグみたいなものに遭遇して……

カドエル家が反逆的だったのでどうにか是認を取り戻したかったところ、誤って季をスタートしてしまった上に、その瞬間に生贄選択画面に移行。

当然是認はそのままなのでどうすることもできずにゲームオーバーになったのがとにかくつらかった。

たった1つの原因不明のそこまででもないバグかもしれないけれども、ゲームクリアにモロに影響したのはちょっと。タイミング的にも最終年の春という最悪のタイミングなものだったし(しかもそのプレイでは初の開眼持ちや翻訳ミス画面が出てくるしで色々怖かった)。

 

とりあえず攻略サイト見る前に一度は自力で普通のエンディングを見たいような……

……やっぱ見るかなあ。