遊戯王OCGを嗜む人の多くがYouTuberのあまくだりさんをご存じかと思います。
いろいろな企画をやられているYoutuberさんですが、クソカード診療所はひときわ特徴的で、ヤドカリューとかサイバー・バリア・ドラゴンなどお世辞にもかなり使いにくいと言わざるを得ないカードたちに見事活躍の場を与えています。
そして新企画としてクソカード医学会というものがあります。
マスターデュエルでそれぞれが思い思いのクソカードを活躍させるデッキを組んでデュエルするということで、それに参加しようと思ったのですが……
・患者紹介
自分のお気に入りのクソカードは《ドラグニティナイト-トライデント》です。
属性 風属性レベル レベル 7攻撃力 2400守備力 1700ドラゴン族/シンクロ/効果
ドラゴン族チューナー+チューナー以外の鳥獣族モンスター1体以上
①:1ターンに1度、自分フィールドのカードを3枚まで墓地へ送って発動できる。相手のEXデッキを確認し、この効果を発動するために墓地へ送った数だけカードを選んで墓地へ送る。
ドラグニティシンクロ★7で、自分の場のカードを3枚まで墓地に送ることで、相手のEXデッキを確認して3枚まで墓地に送ります。
お察しの通り、かなり弱いカードです。
箇条書きにするだけでも、
・ドラグニティなのでシンクロ素材の縛りがきつい。
・偶数シンクロがメインなドラグニティでは奇数シンクロがやや異物になりがち。
・シンクロ召喚するだけでも場のカードを消費するのに、さらに効果のコストとして場のカードを消費する必要あり。
・墓地に送る必要があるため、トークンをコストにできない(アド損が強い)
・単にEXデッキ破壊をするだけならドラグマのほうがやりやすい。
という、いかにも「こいつは重症だなあ…」という声が聞こえてきそうなカードです。
明確な差別化点として、相手のEXデッキを確認した上で除去することができます。
とにかくEXデッキを除去する、相手が選んだ任意のカードを相手が捨てるというカードなら少なくないですが、この確認&除去はまだ可能とするカードが少ないです。
そんな独自の持ち味がありながらトライデントが使われていないのは、この効果がそこまで強くないからです。
EXデッキピーピング&破壊をすれば相手のデッキの情報アドも稼げて相手の展開やエースの登場を妨害できるのですが、十分な枚数を破壊するには自分の場にトークン以外のカードを複数用意する必要があります。
さらにモンスター2枚を素材にしてトライデントを出し、トライデントの効果を発動するためにカードを消費するとボードアドバンテージは壊滅的。
いくら相手の展開力や決定力を削いだとしてもこの時点で自分が消耗しすぎています。
割に合わないのです。
結論
ここから無免許医によっての論文がつらつら書いてありますが、熟練のデュエルドクターであればわざわざ読むまでもない内容なので、結論を先に持ってきます。
・手段(スカルギオスを出すための素材を用意すること・相手のEXデッキを破壊して戦況を優位にすること)が目的(トライデントを出し、効果を発動すること)になってはいけない。
・患者の病状や環境を理解する(トライデントは何ができるカードなのか、なぜ弱いのか)
・医師免許は勉強しないと取れない(単純な勉強もままならないと医師になることは難しい)
・治療
このカードを使用するデッキを考えるにあたり、【化石】と組み合わせることが浮かびました。
EXデッキメタを得意とする【ドラグマ】の場合、自前でのEXデッキ破壊手段が豊富なので割に合わないトライデントを使用する意味が皆無だからです。
《古生代化石竜 スカルギオス》は7000ポイントのダメージを狙えるゲームエンド級のパワーを持つ一方で、素材に相手の墓地のレベル7以上のモンスターが指定されているので出すのが困難な部類です。
《タイム・ストリーム》でも出せるのですが、その前に下地となる化石モンスターを出さなければならず、フォッシル・フュージョンによる耐性も付与されないので重め。
そしてここまで読めばおわかりでしょうが、トライデント+スカルギオスの狙いはかなり明確です。
トライデントの効果で相手のEXデッキを破壊し、墓地に送ったカードを素材にスカルギオスを融合召喚。スカルギオスで殴ってゲームエンド。
そして今になって思うのですが、スカルギオスの混合を考えたのが頓挫した原因になった気がします。
スカルギオスを出すと決めた以上、メインデッキはドラグニティではなく岩石族となります。
当然そうなるとトライデントは《アルティマヤ・ツィオルキン》(以下赤き竜)で出すことになります。
ただ岩石族はチューナーがアダマシアの3枚しかいないチューニング不毛の地。当然全員低レベルなので正攻法では出せません。
そこで考えたのが《タンホイザーゲート》と《ギャラクシー・クィーンズ・ライト》なのですが…
とりあえず、こんなデッキになりました。
タンホイザーゲートの対象となるように攻撃力が低めの岩石族をメインに投入しています。
《鉄巨人アイアンハンマー》は実は岩石族なので、《怒気土器》で★8岩石を捨てて特殊召喚でき、タンホイザーゲートとギャラクシー・クィーンズ・ライトの両方に対応している非常に貴重な岩石族です。効果も最後の詰めの一手に役に立つと思いました。
《メタモルポット》は岩石族では数の少ないドロー効果持ちで、怒気土器からセットするなどしてサーチ不可の魔法2枚を引き込みます。
で、結論。治療に失敗しました。
賢明なデュエルドクターならデッキレシピを見ただけでもうお分かりかと思いますが、トライデントがまるで機能していません。
・反省文
タンホイザーゲートに対応しているのはアダマシアのうち探索者(女の子のほう)のみです。
ギャラクシー・クィーンズ・ライトもレベル8を立てないことには機能しません。怒気土器の効果を使う、ブロックドラゴンを出す、シンクロ召喚を行うなどの下準備が必要。
つまり折角どちらかのレベル操作カードを引けてもさらに運が絡みます。
そして問題は出せた後です。
まず先攻で運良くレベル操作カードと赤き竜の素材が揃い、トライデントを出せたとします。
そしてトライデント、赤き竜、セットしたカードをコストに相手のEXデッキを破壊したところで相手に損害を与えることなんてできません。
そのまま相手にターンを渡すと、相手の手札は6枚あるので余程がない限りはすぐに立て直してきます。
EXデッキが3枚削られたくらいで致命傷を負うデッキはそんなに多くないのです。
初手がさらに上振れしてドラガイトやスカルキングとかを立てていないとすぐに負けます。
あとは目を背けていた部分なのですが、そもそもの問題としてスカルギオスを出せる高レベルのモンスターがEXデッキに入ってないことも今日日珍しくなかったです。根本的にコンセプトが崩壊している。
また、相手のデッキを見て墓地に落とされると嫌なカードを狙って落とすのもカード知識が求められてつらいところでした。
スカルギオスを出して勝負を決めてもらったことは少なくないですが、そこにトライデントが貢献できていたことはまったくなかったです。
そもそも赤き竜からトライデントを出せる状況ならクリスタルウィングとかも出せるわけで……
勝つことはできましたが、それはスカルギオス、ドラガイト、クリスタルウイングなどのおかげで、トライデントの姿はそこにありませんでした。
アダマシアがかなり回転力のいいデッキだったのと、メインデッキはレベル操作カードを除けば岩石族できれいに固まっているため、勝率自体はよかったです。
そこで今一度考え直したのですが、トライデントの居場所はやっぱりドラグニティだと思います。
レギオン+クーゼや、ギザーム+αで場に出すことは容易です。
場に出したトライデントでは無理に3枚のデッキ破壊を狙わずとも、自身1枚をコストに発動するだけで情報アドを得ることが可能です。
さらにはリビデなどで蘇生することにより繰り返してのEXデッキ破壊ができます。赤き竜から出すと蘇生制限を満たせないのでこの差は大きい。
もちろん赤い竜から出すこと自体がダメというわけでもなく、容易に出せるデッキに1枚入れてピーピング要員にするのもありかと。
概念的な話でもありますが、単純にドラグニティやトライデント自体への理解が良くなかったのも原因だと思います。
つまるところ、《ドラグニティナイト-トライデント》は重症ではありませんでした。そもそもテーマに属しているだけでも幾分かマシ。
そこに化石だ赤き竜だと治療を施そうとした結果、マジで恥ずかしいくらいに失敗しました。指の骨が折れた患者に義手を出してるくらいの見当違いっぷりでしたね。
今後デュエルドクターを目指す方々は同じ轍を踏まないように気を付けてください。こんな失敗するのは自分だけ?うん!